中組では獅子舞と奴踊りが神賑行事として奉納されます。
これらは祭礼余興とは異なり、いわゆる『神慰め』として氏神様に奉納するものです。


   【ししまい】

 御坊祭の獅子舞は『山から駈け出た獅子が野原で花や蝶と戯れたり、居眠りをしたりする。やがて猟師に撃たれ手負い獅子となり暴れるが、最後に神にいさめられる』ということをテーマに、笛、太鼓に従い2人で舞います。中組は赤色の獅子頭です。(一般には赤の獅子頭が雌獅子、黒の獅子頭が雄獅子と呼ばれるが、本当に雌雄を表すのは定かではない。御坊祭では御坊町と紀小竹組が黒獅子である。紀小竹組は御坊町より指導を受けたためであるが、御坊町はなぜ黒獅子かは分かっていない。)
 中組の舞い方は、まず獅子舞が始まり、道中(1周廻る)し眠った後道中、その後鉄砲で撃たれるシーン(ゴシャクという)ののち再び道中して終了します。だいたい20分程度で、一人前に舞えるまでは長い年月を要します。



   【やっこおどり】

 奴踊りは、先奴を筆頭に中央に行司・世話人が集まって、その周りを若い衆が輪になり、中央で唄う歌に合わせて唄いながら踊るものです。これは奴の「振り」を見せる踊りで、300年以上の歴史があるものです。獅子舞は各組が奉納しますが、奴踊りは中組のほか、現在は御坊町と上組のみが奉納します。